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インタビュー・コラム

【連載第1回】なぜ新規開拓の必要性が、今一番高まっているのか

BtoB/法人営業の新規開拓メソッド

なぜ新規開拓の必要性が、今一番高まっているのか

1.今こそ新規顧客開拓が急務

売上=客数×客単価×購入頻度

売上をあげる方法を考えるための鉄板の方程式です。
どの要素に力を入れるのかが、売上をあげるための戦略となります。

例えば、どれか一つを1.1倍にすると、売上は1.1倍になります。
例えば3つの要素のすべてを1.1倍にすると売上は1.33倍になり、全てを1.25倍にすると売上は2倍になる計算です。

そこで従来から大切にされてきたのが、「お得意様を大切にしましょう」とい考え方です。マーケティングの言葉でいうと、LTV(ライフタイムバリュー)最大化させましょう、ということです。

LTVは、「顧客生涯価値」と訳されます。一つのお客様が、取引を始めてから終わるまでの期間内に、どれだけの利益をもたらしてくれるのか、という指標です。
上記の方程式に当てはめると、LTVを高めるためには、「客単価×購入頻度」を最大化にすることです。

なぜLTVが重視されるようになったかと言うと、新規顧客を獲得することが難しいからです。
1:5の法則というものがあります。新規のお客様を獲得するためには、既存のお得意様を維持する5倍のコストがかかるという法則です。

このことから導き出される戦略が、「コストをかけて「客数」を増やすよりも、今のお得意様を大切にして、もっとたくさんの注文がもらえるようにしましょう」という考えです。

お得意様を大切にすることは重要な戦略です。ですから経営者はお得意様を訪問し、優秀な営業パーソンは売り上げの大きいお得意様を担当します。
この構図は今も続いているのではないでしょうか?

このような営業方針・活動は、景気が良いときは売上があがりますし、お得意様からの注文も増えます。
けれども、米中摩擦やコロナ禍以降、

  • お得意様自体の売上が減少して購買力が落ちている
  • お得意様が外注していた仕事を内製化しだした
  • お得意着が新しい事業に転換したので、今までの需要がなくなった

などの事由から、系列企業や元受け企業などお得意様からの受注が減り、経営者も営業パーソンも、お得意様を大切にしているだけでは売上が減少する一方で、危機感を強くしているのではないでしょうか。

最初の鉄板の方程式
売上=客数×客単価×購入頻度

を、さらに分解すると
客数=新規客先+既存客先

となり、今日では「売上」を増やすためには、「客数」を増やすしかなく、新規の顧客を獲得することから目を背けてはいられない時代になっているのです。

2.新規開拓はますます難しくなっている

以前のように景気が良いときは、既存のお得意様の新たな需要を取り込むことで新規の受注もできました。しかし市場は成熟し、しかも景気が低迷している今の時代では、新規開拓とは競合のお得意様を自社のお得意様へと切替えることを意味します。

新規開拓はますます難しくなっているのです。

以前の営業では、優秀と言われる営業パーソンは、自社にとって売り上げの大きいお得意様を担当していました。つまり、大手のお客様を大切にして、大きな売上をあげていたのです。

そのような大手を担当してきた当時の営業パーソンが、今や部長など責任ある立場になっています。

そうした営業責任者は、自分が大手のお得意様を担当して評価されてきたために、部下に対しても大手のお得意様を大切にすることを求めます。

そして、営業責任者自身が、競合からの切替えを経験したことがないために、やり方が分からず、適切に指導や支援ができないのです。

また、営業パーソンの業績について、売上額だけで評価する体質の会社では、大手のお得意様を担当することが高い評価を得ることになります。

このように、

  • 競合切り替えを指導できる上司がいない
  • 新規開拓を高く評価する社内の仕組みがない

などのことによって、営業パーソンを新規開拓に向かわせないという現状があります。

しかし、新規開拓は、目をそらすことができない、まぎれもなく経営にとっての重要課題なのです。

私は、若いころから主に競合他社の取引が大きいお客様を担当しながら、取引先を切換えて新規獲得をしてきました。
その過程では、さまざまなチャレンジや失敗を重ねながら多くの学びとともに新規顧客の獲得成功に導くための術を得て、売上実績をあげることができました。

次回へ続きます。
第2回テーマは、「営業を強化するためのスキル体系」

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プロフィール

中村昌雄
ジャパンセールスマネジメント代表

中村昌雄氏

1990年にオムロン株式会社に入社。30代前半に2億円規模の競合切り替えを5件達成するなど頭角を現す。まさに法人営業とは経営や営業マネージャーの力量による組織戦だと確信し、上司や先輩の多大な支援を取り付けながら成果を重ねた。一方でマネージャーに力量がない営業部門ほど担当者に多くの活動と報告を求めるのみで業績があがらない実態に気づいていた。
管理職になりM&Aをした子会社に乗り込み戦略の再構築、営業の育成と再組織化に奮闘。オムロンでは部下85名、売上85億円などの部門長を歴任。営業の最前線で自ら陣頭指揮し6億円の競合を切替え、その波及で10億円の売上を獲得、また注力事業を230%成長させた実績などを誇る。
31年にわたり成功体験と挫折なども経験してきた。法人営業とは営業担当のスキルを問う以前に組織戦を戦うチーム力であり、営業リーダーこそが売る力持っている必要がある。そして支えるマネジメントによって社員の働きがいを両立させてこその経営だという信念も持っている。
実践してきた者だから伝えることができる、法人顧客の組織的意思決定を勝ち取ってきた経験とスキルで多くの企業を支援したい気持ちが強まり、「最強営業チームを作り売上を2倍にする実践型B2B営業コンサルタント」として起業、奔走している。

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