人材確保策としての自己啓発支援
優秀な人材確保(人材の獲得と定着)のためにも自己啓発支援は有効です。とりわけ自律型人材は自身の成長にも大きな関心を持っています。会社が自身の成長の場となるかどうかを見極めて入社を決定し、退職を決意します。
企業の採用ページを見ていると、最近は、会社の業務内容や募集職種の説明、先輩社員の声など社内の雰囲気を伝えるコンテンツだけでなく、自社が人材育成にどれだけ力を入れているかを具体的に説明している企業が増えていると感じます。ただし、自己啓発支援についてはほとんど何も書かれていません。
ご存じの方もおられると思いますが、上場企業は、人的資本(個々の従業員の能力・知識・技能など付加価値の源泉となるもの)についての情報開示が義務 となりました。投資家の投資判断には、財務情報だけでなく企業成長を左右する人に関する情報(非財務情報)が不可欠だからです。そのため人材育成に関する情報(1人当たりの平均研修時間などの具体的な指標や目標)も人的資本情報として公開する必要があります。
上場企業で人材育成状況などの情報開示がなされると、就職を希望する者はその情報を参考にして就職先を見つけるようになります。そうなると他の企業も対抗上、情報公開をせざるを得なくなります。そこで今から積極的に自己啓発支援を行い、従業員の自己啓発活動事例を紹介するなど他社との差別化を行うことをお勧めします。きっと優秀な応募者を増やすことができると思います。
1「人的資本可視化方針」(2022年8月30日内閣官房発表)にもとづく内閣府令(2023年1月31日施行)参照
次回に続きます。
第5回テーマは、「リスキリングでも自己啓発が重要」
プロフィール
本田和盛
特定社会保険労務士
あした葉経営労務研究所代表 HAコンサルティング株式会社 代表取締役
小樽商科大学卒業 法政大学大学院経営学研究科修了(MBA)
法政大学大学院政策創造研究科修了。コマツを経て独立。
著書に「管理職の基本と原則」「管理職の理論と実践」などがある。
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