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インタビュー・コラム

【連載第3回】研修で自己啓発への気づきを与える

自律型人材の育成・確保と自己啓発支援(全5回)

研修で自己啓発への気づきを与える

自己啓発を従業員に促すためにはOff-JT(研修など)も重要です。人材育成の世界で有名なロミンガーの法則1によると、人の成長の源泉7割が業務経験2割が薫陶(他者からのアドバイスや他者の行動を見て影響を受けること)1割が研修とされています。研修のインパクトはたった1割かと思われるかもしれませんが、実はこの1割が重要なのです。
研修は、受講者に気付きを与えることができます。受講者は研修受講を通じて、自身に求められる能力(会社からの期待レベル)や、環境変化の中で新たに獲得すべき知識やスキルを理解し、現状とのギャップに気付くのです。この気づきが従業員に自己啓発へと向かわせる強い動機付けとなります。
自己啓発は、従業員の職務能力の開発・向上に向けた自発的な取り組みです。自身で書籍を購入して学習する、自身で選択したeラーニングを受講する、大学院など社外の学びの場に参加するなど、自己啓発には多様な方法があります。新たな知識やスキル、経験の獲得を目的とした副業・兼業も広い意味で自己啓発と言えるかもしれません。
現在の職場を超えて学習することを越境学習と言いますが、自己啓発活動として越境学習を経験した従業員が、社外の知見などを社内に持ち込んでイノベーションを起こしてくれる可能性もあります2 。なお自己啓発支援とは金銭的な支援だけではありません。自己啓発に関する情報の提供や、自己啓発のための時間を確保することなども立派な支援です。

1 米国の人事コンサルタント会社ロミンガー社の調査(1996)
2 石山 恒貴・伊達 洋駆(2022)「越境学習入門」 日本能率協会マネジメントセンター

次回に続きます。
第4回テーマは、「人材確保策としての自己啓発支援」

プロフィール

本田和盛
特定社会保険労務士

本田和盛氏

あした葉経営労務研究所代表 HAコンサルティング株式会社 代表取締役
小樽商科大学卒業 法政大学大学院経営学研究科修了(MBA)
法政大学大学院政策創造研究科修了。コマツを経て独立。
著書に「管理職の基本と原則」「管理職の理論と実践」などがある。

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